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2026/08/05 コラム

不倫をネットに晒された・画像をばらまくと脅されたら:削除請求と投稿者特定・法的措置を解説

はじめに

「不倫の事実をSNSや掲示板に書き込まれた」「別れ話をしたら、写真をばらまくと脅されている」。不倫をめぐるトラブルでは、当事者間の慰謝料の問題にとどまらず、インターネット上での暴露や、私的な画像の流出といった被害が生じることがあります。

インターネット上に一度拡散した情報は完全に消し去ることが難しく、「デジタルタトゥー」とも呼ばれます。被害を最小限に食い止めるには、早期の証拠保全と削除請求、そして投稿者の特定と責任追及という法的措置を、適切な順序で進めることが重要です。

本記事では、弁護士法人長瀬総合法律事務所が、不倫の暴露投稿やリベンジポルノの被害に遭った場合の削除請求の方法、匿名の投稿者を特定する手続、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置について解説します。20254月に施行された情報流通プラットフォーム対処法による削除手続の変化にも触れます。

Q&A

Q1.不倫の事実をネットに書き込まれました。本当のことでも削除できますか?

A.削除できる可能性があります。書かれた内容が事実であっても、不倫のような私生活上の事柄をみだりに公表する行為は、プライバシーの侵害にあたり得ます。また、名誉毀損は摘示された事実が真実であれば常に免責されるわけではなく、公共の利害に関する事実について公益目的で行われた場合などに限って違法性が否定されるにとどまります。一般の私人の不倫を暴露する投稿がこれにあたることは通常考えにくく、事実であっても違法な投稿として、削除請求や損害賠償請求の対象となり得ます。

Q2.「画像をばらまく」と脅されています。どうすればよいですか?

A.性的な画像を公表すると告げて相手を畏怖させる行為は、脅迫罪や強要罪にあたり得るほか、実際に公表すれば、いわゆるリベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)違反として刑事罰の対象になります。まずは、脅迫のメッセージや通話を消さずに保存(スクリーンショット・録音)したうえで、要求には安易に応じず、警察と弁護士に相談してください。脅しに屈して金銭や面会の要求に応じても、要求がエスカレートするだけのことが多く、根本的な解決にはなりません。

Q3.匿名の投稿でも、誰が書いたか特定できますか?

A.特定できる場合があります。発信者情報開示命令という裁判手続(202210月に運用が始まった非訟手続)を利用すると、サイト運営者と経由プロバイダに対する開示手続を一体的に進め、投稿者の氏名・住所等の開示を受けられる可能性があります。ただし、プロバイダの通信記録(ログ)の保存期間は一般に3か月から6か月程度といわれており、時間が経つと特定が困難になります。投稿に気付いたら、できるだけ早く動くことが重要です。

解説

不倫の暴露投稿はどのような権利侵害になるか

不倫の事実や当事者の氏名・職場などをインターネット上に書き込む行為は、内容や態様に応じて、名誉毀損(社会的評価の低下)、プライバシー侵害(私生活上の事実のみだりな公開)、肖像権侵害(顔写真の無断掲載)などにあたり得ます。

名誉毀損については、刑事上も民事上も、摘示した事実が公共の利害に関わり、公益を図る目的でなされ、内容が真実である(又は真実と信じる相当の理由がある)場合に違法性が否定されるという枠組みがありますが、私人の不倫の暴露は、通常、公共の利害に関する事実とはいえません。「本当のことを書いただけ」という言い分は、法的には通用しないのが原則です。

リベンジポルノ防止法による保護

元交際相手や元配偶者などの私的な性的画像を、本人の同意なく不特定多数に公開する行為は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)により処罰されます。公表罪の法定刑は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、公表させる目的で画像を第三者に提供する行為も1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象です(202561日の改正刑法施行に伴い、従来の懲役は拘禁刑に改められています)。

同法には、被害者からの申出を受けたプロバイダ等による画像の削除を進めやすくする特例も設けられており、警察への相談と並行して、削除に向けた手続を進めることができます。

削除請求の進め方と情報流通プラットフォーム対処法

削除を求める手順は、おおむね次の流れで進めます。

【図解】不倫の暴露投稿・リベンジポルノへの対応の流れ

各ステップのポイント

第一に、証拠保全です。削除請求が認められると投稿自体が消えるため、その前に、投稿内容のスクリーンショット、URL、投稿日時、表示されている画面全体を記録しておきます。これらは後の損害賠償請求や刑事告訴の証拠になります。

第二に、削除請求です。多くのサイトやSNSには違反報告・削除申請の窓口があり、権利侵害を理由とする送信防止措置の申出を行うことができます。任意の削除に応じない場合には、裁判所に投稿記事削除の仮処分を申し立てる方法があります。

この点に関連して、202541日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(プロバイダ責任制限法を改正・改称した法律)により、大規模なSNS等の事業者には、削除申出窓口の整備・公表、申出に対する一定期間内(原則として14日以内)の判断と通知、削除基準の公表などが義務付けられました。従来は削除申請をしても応答すらないことが珍しくありませんでしたが、法施行により、被害者の申出への対応の迅速化・透明化が図られています。

第三に、投稿者の特定です。匿名掲示板やSNSの投稿者を特定するには、発信者情報開示命令の手続を利用します。前述のとおりログの保存期間に限りがあるため、特定を視野に入れる場合は早期の着手が不可欠です。

第四に、特定後の責任追及です。投稿者に対しては、慰謝料等の損害賠償請求のほか、名誉毀損罪、脅迫罪・強要罪、リベンジポルノ防止法違反等での刑事告訴を検討します。示談により、削除・再投稿の禁止・違約金条項を含む合意書を取り交わす解決もあります。

検索結果・拡散先への対応

投稿元のサイトから削除できても、検索エンジンの検索結果に情報が残り続けたり、まとめサイトや他の掲示板に転載されて拡散していたりすることがあります。検索エンジンに対しては、検索結果からの削除(インデックス削除)を申請する方法があり、転載先に対しては、それぞれの運営者への削除請求を順次行っていくことになります。拡散の規模が大きい場合には、優先順位を付けて、影響の大きいものから対応するのが現実的です。

氏名や職場で検索した際に表示される情報は、就職や人間関係に長期間影響し得るため、本体の削除と併せて、検索結果への対応まで視野に入れることが、デジタルタトゥー対策としては重要です。

損害賠償の水準と費用の考え方

暴露投稿やリベンジポルノの加害者に対する慰謝料は、公開された情報の内容(性的画像か、文章による暴露か)、公開の範囲と期間、被害者の実生活への影響(退職、転居、通院など)といった事情により大きく異なります。性的画像の流出のように被害が深刻な事案では、相応の高額の賠償が認められることもありますが、投稿の特定や削除、開示手続には一定の弁護士費用・実費(仮処分や開示命令の手続費用など)もかかります。被害回復として何を最優先するか(迅速な削除か、投稿者の処罰か、賠償か)を整理したうえで、費用と効果のバランスの取れた方針を立てることが大切です。

やってはいけない対応

被害に遭ったときに避けるべき対応もあります。まず、感情的になって相手の情報を晒し返すことです。ご自身が名誉毀損等の加害者となり、立場が一気に悪化します。次に、過剰な金銭要求や謝罪の強要です。正当な賠償請求の範囲を超えると、恐喝罪や強要罪を疑われるリスクが生じます。そして、「そのうち消えるだろう」という放置です。拡散が進むほど削除は困難になり、ログの保存期間の経過により投稿者の特定もできなくなります。

また、被害がインターネット上にとどまらず、「職場に電話する」「家族に手紙を送る」といった直接的な通知型の嫌がらせに及ぶ場合もあります。こうした行為も、態様によっては名誉毀損や脅迫、業務妨害等にあたり得ますので、通話の録音や文書の保管によって証拠を確保したうえで、弁護士から警告書(受任通知)を送付して接触を遮断する、警察に相談するなどの対応を検討します。

弁護士に相談するメリット

暴露投稿やリベンジポルノの被害対応を弁護士に依頼するメリットは、次のとおりです。

第一に、証拠保全から削除請求、仮処分、発信者情報開示命令、損害賠償請求・刑事告訴まで、時間との勝負になる一連の手続を、適切な順序で迅速に進められることです。第二に、削除請求や開示請求には権利侵害の法的な疎明・立証が必要であり、書面の説得力が結果を左右するため、専門的な対応により認められる可能性を高められることです。第三に、加害者との直接のやり取りを弁護士が引き受けることで、二次被害や報復のリスクを抑えながら解決を図れることです。

当事務所では、不貞慰謝料の問題とインターネット上の被害対応の双方を視野に入れ、事案全体としての解決をご提案しています。

まとめ

不倫の事実をネットに晒す行為は、それが真実であっても、プライバシー侵害や名誉毀損として違法となり得ます。私的な画像の公表やその予告に対しては、リベンジポルノ防止法や脅迫罪・強要罪による対応が可能です。

対応の基本は、証拠保全、削除請求、発信者情報開示命令による投稿者の特定、損害賠償請求・刑事告訴という流れであり、20254月施行の情報流通プラットフォーム対処法により、大手プラットフォームの削除対応は迅速化が図られています。いずれの手続も時間の経過とともに選択肢が狭まりますので、被害に気付いたら、できるだけ早く弁護士にご相談ください。


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