2025/01/24 コラム
不倫が原因で別居・離婚に至った場合の慰謝料
家庭崩壊が慰謝料額に与える影響と実務上のポイント
はじめに
不倫の発覚がきっかけで夫婦関係が破綻し、別居や離婚に至るケースは少なくありません。このような場合、慰謝料請求の際に「不倫がどの程度、夫婦関係の破綻に影響を与えたのか」という点が重要なポイントとなります。
裁判所は、不倫が家庭崩壊の直接的な原因である場合、慰謝料を高額に認定することが一般的です。しかし、逆に夫婦関係が不倫以前から破綻していたと認定されると、慰謝料が減額される可能性もあります。
本稿では、不倫が原因で別居や離婚に至った場合の慰謝料について、増額・減額のポイントや実務上の注意点を具体的に解説します。慰謝料請求を検討している方にとって、有益な情報を提供できる内容となっています。
この記事は、弁護士法人長瀬総合法律事務所が作成しています。不倫による慰謝料請求でお悩みの方は、ぜひ専門家にご相談ください。
Q&A
不倫が原因で離婚した場合、慰謝料は高額になりますか?
不倫が家庭崩壊の直接的な原因であると認められる場合、慰謝料は増額されることが多いです。特に、被害者が受けた精神的苦痛や生活への影響が大きい場合には、高額な慰謝料が認められる可能性があります。
不倫が原因で別居しただけでも慰謝料を請求できますか?
はい、別居に至った場合でも、不倫が夫婦関係の破綻に直接的に影響を与えたと認められる場合は、慰謝料請求が可能です。ただし、別居が長期化しても最終的に離婚に至らない場合は、慰謝料の金額が抑えられることもあります。
離婚に至らなくても、慰謝料の増額は期待できますか?
離婚に至らない場合でも、不倫が夫婦関係に重大な影響を与えた場合には、慰謝料の増額が認められる可能性があります。しかし、夫婦が関係を修復する選択をした場合には、慰謝料が若干抑えられる傾向があります。
夫婦関係が既に破綻していた場合でも慰謝料を請求できますか?
夫婦関係が不倫以前から破綻していたと認められる場合、不倫が家庭崩壊の直接的原因ではないと評価され、慰謝料が減額される可能性があります。夫婦関係が完全に破綻していた場合は、慰謝料が認められないこともあります。
解説
慰謝料が増額されるケース
- 不倫が家庭崩壊の直接的原因である場合
不倫発覚によって家庭内の信頼関係が完全に崩れ、別居や離婚に至った場合、不倫が家庭崩壊の直接的な原因と認められます。
この場合、裁判所は被害者の精神的苦痛を深刻と評価し、高額な慰謝料が認められることがあります。 - 子どもがいる家庭で不倫が発覚した場合
子どもがいる家庭で不倫が原因で離婚に至った場合、子どもへの影響や被害者が育児を抱える精神的・経済的負担を考慮し、慰謝料が増額される傾向があります。 - 長期間の不倫が発覚した場合
数年にわたる不倫関係が夫婦間の信頼を完全に破壊したと認定される場合、長期間の裏切り行為として慰謝料が大幅に増額される可能性があります。
慰謝料が減額されるケース
- 夫婦関係が不倫以前から破綻していた場合
夫婦が長期間別居している、夫婦間の会話や交流が途絶えているなど、不倫以前から夫婦関係が実質的に破綻していると認められる場合、慰謝料が減額される可能性があります。
裁判所は「不倫が破綻の主たる原因ではない」と判断するため、慰謝料額が低額に抑えられることもあります。 - 被害者にも過失がある場合
被害者側にも夫婦関係が破綻する原因がある(例:長期間の冷遇やDVなど)場合、慰謝料が過失相殺により減額される可能性があります。
実務上のポイント
- 証拠の重要性
不倫が原因で別居や離婚に至ったことを証明するためには、不倫の証拠が不可欠です。
ラブホテルの領収書、探偵報告書、LINEやメールのやりとりなど、具体的な証拠が慰謝料額に直接影響します。 - 生活への影響を立証
被害者が不倫によって精神的に大きなダメージを受け、仕事を休職したり、生活環境が一変した場合は、被害の程度を明確に立証することで慰謝料の増額が期待できます。 - 離婚後の生活設計を考慮
離婚に伴う財産分与や養育費など、慰謝料以外の金銭的負担も総合的に考慮しながら、請求額を設定する必要があります。
弁護士に相談するメリット
- 証拠収集と立証のサポート
不倫が原因で別居・離婚に至ったことを証明するための証拠収集や、裁判所への適切な主張を弁護士がサポートします。 - 適切な慰謝料額の設定
過去の判例や経験をもとに、適切な慰謝料額を提示し、請求の根拠を整理します。 - 冷静な交渉とリスク管理
感情的な対立を避け、冷静かつ法的に適切な形で交渉を進められるよう、弁護士が調整役を担います。 - 将来的な紛争の予防
示談書や離婚協議書の作成を通じて、将来的なトラブルを防ぎながら、円満な解決を目指します。
まとめ
- 不倫が原因で別居・離婚に至った場合、慰謝料は増額される可能性が高い
- 家庭崩壊の直接的原因である場合、被害者の精神的苦痛が深刻と評価される。
- 夫婦関係が破綻していた場合は減額される可能性も
- 不倫以前から破綻状態であった場合、慰謝料が抑えられるか認められない場合もある。
- 証拠の重要性
不倫の証拠が具体的で明確なほど、慰謝料請求が認められやすい。 - 弁護士のサポートで適切な解決を目指す
証拠収集、交渉、慰謝料額の設定など、専門的なアドバイスを得ることで、より有利な解決を目指せる。
不倫問題で慰謝料請求を検討している方は、専門家のサポートを受けることで、適切な請求額の設定やスムーズな解決が期待できます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、あなたのケースに合わせた最善のアドバイスをご提供します。お気軽にご相談ください。
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