2025/02/05 コラム
婚姻関係が既に破綻していたとみなされる場合の基準
不倫慰謝料請求に影響を与える「破綻」の判断基準とは?
はじめに
不倫慰謝料の請求では、婚姻関係が既に破綻していたかどうかが重要な争点となることがあります。裁判所は、「夫婦関係が事実上終了している」場合、不倫行為が婚姻関係に与えた影響は限定的と考え、慰謝料を減額したり、請求を認めない場合もあります。
本稿では、婚姻関係が破綻しているとみなされる基準や、破綻が慰謝料請求に与える影響、さらに破綻を主張されている場合の反論方法について解説します。不倫問題に直面し、慰謝料請求の可否や戦略を検討している方にとって、参考となる内容をお届けします。
この記事は、弁護士法人長瀬総合法律事務所が作成しています。不倫問題に関して詳しいアドバイスが必要な方は、ぜひご相談ください。
Q&A
Q1:婚姻関係の破綻とは具体的にどのような状態ですか?
婚姻関係の破綻とは、夫婦間の信頼関係が失われ、事実上の婚姻生活が終了している状態を指します。具体的には、以下のような状態が考慮されます。
- 長期間の別居
- 夫婦間での会話や交流が完全に途絶えている
- 経済的支援や家庭内での責任分担が行われていない
Q2:夫婦が同居していれば破綻していないと判断されますか?
必ずしも同居=破綻していない、というわけではありません。同居していても、別々の生活をしている場合や、夫婦間の信頼関係が完全に失われている場合には、破綻しているとみなされる可能性があります。
Q3:長期間の別居があれば慰謝料請求はできなくなりますか?
別居期間が長い場合でも、夫婦の一方が婚姻関係を修復する意思を持っていたり、生活費を負担していた場合には、婚姻関係が完全に破綻していないと判断されることがあります。
Q4:不倫行為が破綻の原因である場合、慰謝料は認められますか?
不倫行為が夫婦関係破綻の直接的な原因である場合、慰謝料が認められる可能性が高いです。この場合、不倫行為による精神的苦痛が大きいと評価され、増額されることもあります。
解説
ここからは、婚姻関係の破綻がどのように判断されるのか、不倫慰謝料請求に与える影響を解説します。
婚姻関係の破綻を判断する基準
- 別居の期間と状況
別居が数か月程度であれば、婚姻関係の破綻が認められる可能性は低いです。別居期間が数年以上に及び、夫婦間で連絡や交流が一切ない場合、破綻が認められる可能性が高くなります。 - 夫婦間のコミュニケーションの有無
別居中であっても、夫婦間で定期的な連絡があり、生活費や子どもの教育費について協議している場合、婚姻関係が継続しているとみなされやすいです。 - 生活費や扶養の状況
配偶者が別居中も生活費を負担している場合、夫婦としての義務を果たしていると考えられ、破綻しているとは判断されにくいです。 - 離婚の意思と行動
配偶者が離婚を望んでいるものの、実際に離婚調停や協議が行われていない場合、婚姻関係が破綻しているとみなされにくいです。
破綻の判断が慰謝料に与える影響
- 婚姻関係が破綻していない場合
婚姻関係が存続していると判断される場合、不倫行為は貞操義務違反として慰謝料請求の対象となります。精神的苦痛の程度に応じて、100万円~300万円程度の慰謝料が認められることが一般的です。 - 婚姻関係が破綻している場合
不倫行為が破綻後に行われたと判断される場合、不倫は婚姻関係に与える影響が限定的とされ、慰謝料請求が認められないか、減額される可能性が高くなります。 - 不倫が破綻の原因である場合
不倫が夫婦関係の破綻を直接的に引き起こした場合、慰謝料が増額される傾向があります。
実務上の注意点
- 証拠の収集
婚姻関係が存続していることを示す証拠として、以下が挙げられます。- 夫婦間でのメールやLINEのやりとり
- 生活費の送金記録
- 子どもの教育や家庭内の責任分担に関する資料
- 不倫の影響を立証
不倫行為が夫婦関係の破綻を引き起こしたことを示す証拠があれば、慰謝料請求が認められやすくなります。 - 長期別居への対応
別居期間が長期化している場合、不倫相手や配偶者との交渉を弁護士に依頼し、適切な対応を進めることが重要です。
弁護士に相談するメリット
- 破綻の有無を正確に判断
弁護士は、判例や法律の解釈を基に、婚姻関係が破綻しているか否かを適切に判断し、慰謝料請求の可能性を明確にします。 - 証拠収集のサポート
婚姻関係が存続していることや、不倫行為が破綻の原因であることを示す証拠の収集をサポートします。 - 適切な交渉と解決策の提示
感情的な対立を避け、冷静かつ法的に適切な形で交渉を進められるようサポートします。 - 法的リスクの回避
慰謝料請求において、逆に名誉毀損やプライバシー侵害を主張されるリスクを回避するため、弁護士のサポートが重要です。
まとめ
- 婚姻関係の破綻が慰謝料請求の成否を左右する
別居期間の長さ、夫婦間のコミュニケーション状況、生活費負担の有無が判断材料となる。 - 不倫が破綻の原因であれば慰謝料が認められる可能性が高い
破綻の直接的原因が不倫行為である場合、慰謝料が増額されることもある。 - 証拠収集が重要
婚姻関係が存続していることや、不倫行為が家庭に与えた影響を立証する証拠が必要。 - 弁護士のサポートで的確な対応を
破綻の判断や慰謝料請求の進め方について、専門的なアドバイスを受けることで、より有利な解決を目指せる。
不倫問題で慰謝料請求を検討している方は、専門家のサポートを受けることで、適切な解決が期待できます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、個別の事情に応じたアドバイスをご提供します。お気軽にご相談ください。
長瀬総合のYouTubeチャンネルのご案内
法律に関する動画をYouTubeで配信中!
ご興味のある方は、ぜひご視聴・チャンネル登録をご検討ください。
その他のコラムはこちらからお読み下さい