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2025/02/04 コラム

別居中の不倫は違法? 慰謝料請求の可否と婚姻関係破綻の基準を解説

はじめに

夫婦が別居中に一方が不倫関係を始めた場合、「既に婚姻関係が破綻している」として、不倫行為が違法ではないと主張されることがあります。このようなケースでは、別居が婚姻関係の破綻を意味するのか、または不倫が夫婦関係の破綻を決定的にしたのかが、慰謝料請求において重要な争点となります。

本稿では、別居中の不倫に関連する法的なポイントや、婚姻関係の破綻を裁判所がどのように判断するか、具体例を交えながら解説します。不倫問題で慰謝料請求を検討している方や、不倫相手から「既に破綻していた」と反論されている方にとって、有益な情報をお届けします。

本記事は、弁護士法人長瀬総合法律事務所が作成しています。別居中の不倫や婚姻関係破綻に関する問題についてお悩みの方は、ぜひご相談ください。

Q&A

Q1:別居中の不倫は違法ですか?

別居中であっても、夫婦関係が法的に存続している限り、不倫行為は婚姻上の貞操義務に違反するとみなされます。ただし、別居が長期間続いている場合や、夫婦間で婚姻関係の終了が事実上合意されている場合は、慰謝料請求が否定される可能性があります。

Q2:婚姻関係が破綻しているかどうかはどう判断されますか?

婚姻関係が破綻しているかどうかは、以下のような要素を総合的に判断します。

  • 別居期間の長さ
  • 別居の理由やきっかけ
  • 夫婦間のコミュニケーション状況
  • 別居後の生活費負担や家庭内の責任分担の有無

Q3:別居が長期間続いていれば、慰謝料請求はできなくなりますか?

必ずしもそうではありません。別居期間が長くても、配偶者が婚姻関係を修復しようとしていた場合や、形式的な婚姻関係が維持されていた場合、不倫行為が慰謝料請求の対象となることがあります。

Q4:別居後に新たな交際を始めた場合、不倫とみなされますか?

別居後の交際が不倫とみなされるかどうかは、婚姻関係が破綻しているかどうかによります。婚姻関係が事実上終了していると判断されれば、不倫ではなく、新たな交際として扱われる可能性があります。

解説

ここからは、別居中の不倫における法的なポイントや実務的な判断基準を、詳しく解説していきます。

1. 婚姻関係破綻の判断基準

裁判所が婚姻関係の破綻を判断する際には、以下のような要素が考慮されます。

  • 別居期間の長さ
    別居が12か月程度であれば、婚姻関係の破綻が認められる可能性は低いです。
    一方で、別居が数年にわたる場合や、別居期間中に配偶者との接触がほとんどない場合には、婚姻関係が破綻していると判断される可能性が高まります。
  • 別居の理由やきっかけ
    別居の理由が不倫相手との交際にある場合、不倫が婚姻関係破綻の原因とされ、慰謝料が認められる可能性が高いです。
    逆に、夫婦の不和や性格の不一致が別居の主な理由であり、不倫が別居後に始まった場合は、慰謝料が減額されることがあります。
  • 夫婦間のコミュニケーション状況
    別居中でも定期的に連絡を取り合い、子どもの養育や生活費負担について話し合っていた場合、婚姻関係が破綻していないとみなされやすいです。

2. 別居中の不倫に関する具体例

  • ケース1:別居直後に不倫関係を始めた場合
    別居開始直後に配偶者が不倫を始めた場合、不倫が婚姻関係の破綻を決定的にしたとみなされる可能性が高いです。この場合、慰謝料が認められることが多いです。
  • ケース2:数年間の別居後に不倫が発覚した場合
    別居が長期間続いており、夫婦間で婚姻関係の修復が期待されていなかった場合、不倫行為が「既に破綻した関係」に基づくものとみなされることがあります。この場合、慰謝料請求が認められない可能性があります。
  • ケース3:形式的に婚姻関係が続いている場合
    別居期間が長くても、配偶者が生活費を負担している、定期的に家庭内の責任を果たしているなど、婚姻関係が形式的に存続している場合は、不倫行為が慰謝料請求の対象となることがあります。

3. 実務上のポイント

  • 証拠の重要性
    婚姻関係が破綻していなかったことを証明するためには、以下のような証拠が有効です。
    • 配偶者が婚姻関係を修復する意図を示すメッセージや日記
    • 別居期間中の生活費の送金記録
    • 別居期間中に夫婦間で行われた連絡内容
  • 不倫が家庭に与えた影響を立証
    不倫が別居後の夫婦関係に悪影響を与えた場合、その影響を具体的に示すことで、慰謝料請求が認められやすくなります。
  • 長期別居の対処法
    別居が長期化している場合、不倫相手との交際を避けるよう配偶者に求める法的手段を検討することも有効です。

弁護士に相談するメリット

  1. 婚姻関係破綻の有無を適切に判断
    弁護士は、過去の判例や法律の解釈を基に、婚姻関係が破綻しているかどうかを整理し、慰謝料請求の可能性を明確にします。
  2. 証拠収集のサポート
    不倫や婚姻関係の状況を証明するための証拠収集をサポートし、適切な請求手続きが進められるよう助言します。
  3. 適切な交渉をサポート
    感情的な対立を避け、冷静かつ法的に適切な形で交渉を進められるよう調整します。
  4. 法的リスクの回避
    不倫慰謝料請求においては、逆に名誉毀損やプライバシー侵害を主張されるリスクもあります。弁護士がリスクを見越した適切な戦略を立てることで、安全に進めることができます。

まとめ

  • 別居中の不倫でも慰謝料請求が可能な場合がある
    婚姻関係が破綻していないと判断される場合、不倫行為は貞操義務違反として慰謝料請求が認められる。
  • 婚姻関係の破綻を判断する要素を明確にする
    別居期間の長さ、別居の理由、夫婦間のコミュニケーション状況などが判断基準となる。
  • 証拠の収集と整理が重要
    婚姻関係が存続していること、不倫が家庭に悪影響を与えたことを示す証拠が求められる。
  • 弁護士のサポートで最適な解決を目指す
    慰謝料請求の可否や適切な請求額の設定、交渉の進め方を具体的にアドバイスしてもらえる。

別居中の不倫問題は、婚姻関係が破綻しているか否かで結果が大きく異なるため、専門的な知識と適切な証拠収集が必要です。不倫問題でお困りの方は、弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。


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