コラム

2025/01/26 コラム

不倫の証拠収集(写真・動画・LINE・SNS・探偵報告書など)

有効な証拠を正しく集めるために知っておきたいポイントとは?

はじめに

不倫・浮気問題で慰謝料を請求しようと考える際、あるいは「配偶者が浮気をしているのではないか」と疑っているとき、多くの方が最も悩むのが「証拠をどうやって集めればいいのか」という問題です。不貞行為を認めさせるには、写真・動画・LINEの履歴などの具体的な資料や記録が重要な意味を持ちます。しかし、その一方で、プライバシー侵害や違法行為に当たる収集方法はトラブルの原因ともなり得ます。

本稿では、不倫の証拠として主に活用される写真・動画・LINESNS・探偵報告書などについて、収集時の注意点や実務での有効性を解説していきます。証拠を確保しておくことは、慰謝料請求を含む法律的な手続きを進める上で重要です。反面、方法を誤ると逆にこちらが不法行為を問われるリスクもあります。

この記事は、弁護士法人長瀬総合法律事務所が作成したものです。不倫問題で証拠収集にお悩みの方は、ぜひ本稿を参考にしていただくとともに、必要に応じて専門家のアドバイスを受けていただければと思います。

Q&A

まず、不倫の証拠に関して多く寄せられる疑問をQ&A形式で整理してみましょう。

写真や動画はどの程度の画質・内容であれば証拠として有効ですか?

不倫の現場がはっきりと映っているほど、証拠の有力性は高まります。顔やラブホテルの看板、入室・退室の日時がわかる写真であれば、かなり強い証拠とみなされるでしょう。画質が粗い場合でも、他の証拠(LINEの会話や領収書など)と総合的に判断されることがあるため、一概に「証拠価値がない」とは言い切れません。

パートナーのスマホを勝手に見て証拠を得るのは問題ありませんか?

パートナーの同意なくスマートフォンを勝手に操作し、パスワードを解除してLINEやメールをのぞき見ることは、プライバシーや不正アクセス禁止法などに抵触する可能性があります。実際に裁判で証拠として採用される場合もありますが、収集方法が違法と判断されるリスクをはらんでおり、慎重な対応が必要です。

探偵を利用するメリットは何ですか?

探偵は、裁判所に提出することを念頭に置いた報告書を作成してくれることが多く、写真や動画の撮影日時や場所、被写体を特定するための情報をまとめてくれます。一方で探偵費用は相応にかかるため、費用対効果をよく検討する必要があります。

LINEやSNSのスクリーンショットは証拠として使えますか?

スクリーンショットや印刷した画面キャプチャも、不倫を示すメッセージのやりとりが明白な場合には有力な証拠となり得ます。しかし、単なる「やりとりの一部切り取り」ではなく、送受信日時や相手のプロフィールが特定されているかなど、証拠としての信ぴょう性が確保されているかがポイントです。画面上の表示以外にも、やりとりが本物であると示す客観的な証拠(操作ログなど)も用意できればより有力なものになります。

違法な手段で得た証拠は裁判で使えないのでしょうか?

違法な手段で得た証拠が、必ずしも一切採用されないというわけではありませんが、収集方法が著しく社会正義に反するものであれば、裁判所が証拠として認めない可能性があります。また、相手から逆に損害賠償請求されるリスクもあるため、違法収集とみなされる恐れがある方法は避けなければなりません

解説

ここからは、「どのような証拠が有力と評価されるのか」「具体的にどんな注意点があるのか」といった視点でさらに詳しく解説していきます。

1. 写真・動画の収集

  • カメラやスマホでの撮影
    ラブホテルや相手の家に出入りする様子を写真や動画に収めることで、不貞行為の存在を強く示唆できます。ただし、夜間の撮影や遠距離からの撮影は、被写体がはっきり映らない可能性がありますので、鮮明さに留意が必要です。
    • 違法な手段のリスク
      相手のプライベート空間を盗撮する行為は、住居侵入や迷惑防止条例違反に問われる可能性があります。くれぐれも盗撮・盗聴などの違法行為はしないようご留意ください。
  • 探偵の調査報告書との合わせ技
    自分で撮影した写真や動画は、探偵の調査報告書の一部と併せて提出することで、時系列や場所の整合性がさらに高まり、裁判官から「信用できる証拠」と認められやすくなります。

2. LINEやメールの履歴

  • 内容による証明力の違い
    「昨晩は楽しかったね」程度の曖昧な文章では、肉体関係の有無がはっきりせず、不倫行為を直接示す証拠とは言えない場合があります。
    一方で、明確に「愛している」「ホテルに行こう」という文言が含まれている場合や、日付と場所が特定できるメッセージがある場合は、不貞行為を強く裏付ける証拠になり得ます。
  • 削除リスク・バックアップの重要性
    LINEはデバイスやアカウントを変更すると履歴が消えてしまう場合があります。証拠保全のためには、スクリーンショットを取っておく、バックアップを定期的にとるなどの対策が大切です。

3. SNSのやり取り

  • SNSの投稿やコメント
    公開範囲が「友達限定」や「非公開」設定になっている場合でも、本人が投稿している限り、証拠として取得可能なことがあります。ただし、他人のアカウントに勝手にログインすることは不正アクセス禁止法に抵触するおそれがあるため注意が必要です。
    SNS上で堂々とデートの写真を投稿しているような場合は、二人の関係性を裏付ける客観的資料として役立ちます。
  • 位置情報サービス
    SNS、またはGPSアプリなどで位置情報が共有されている場合は、同じ場所・日時にいた事実を裏付ける材料になります。SNSの投稿と同時に記録される位置情報が「偶然同じ場所にいた」という言い逃れを難しくするケースもあります。

4. 探偵の調査報告書

  • 探偵の活用メリット
    • プロのノウハウ
      尾行・張り込み・撮影技術に優れ、証拠を収集する際の違法リスクを軽減することが期待できます。
    • 報告書の体裁
      裁判所に提出する際に整合性が取りやすい形式でまとめられるため、証拠として受け入れられやすいのが特徴です。
    • 費用と依頼先の選定
      探偵の調査費用は決して安くありません。数十万円から数百万円に及ぶこともあるため、費用対効果の検討が重要です。
      また、探偵業者によっては、違法な手段を使われるリスクや虚偽の報告をされるリスクもあり得るので、信頼できる業者かどうかを見極めることが大切です。

5. 違法収集とならないための注意点

  • プライバシー・肖像権の問題
    配偶者や不倫相手のプライバシーを侵害する手法は、こちらが逆に損害賠償責任を負う可能性も生じます。盗撮・盗聴・不正アクセスなどの方法は避けましょう。
  • 録音の取り扱い
    自宅や自分の車内など、「自分もいる場所」で相手が話している会話を録音することは原則として違法ではありません。ただし、隠しマイクを置くなどは場合によって盗聴とみなされるため要注意です。
  • 弁護士による事前アドバイス
    「この方法は証拠として使えるのか?」「収集方法に問題はないか?」といった点は、一度弁護士に確認しておくと安心です。違法収集リスクを防ぐだけでなく、訴訟において有効に活かせる証拠の取り方を助言してもらえます。

弁護士に相談するメリット

不倫の証拠収集は、方法を間違えると違法リスクだけでなく、証拠の価値そのものが低くなる場合があります。ここで弁護士へ相談する主なメリットをまとめます。

  1. 合法的かつ効果的な証拠収集の指導
    弁護士は裁判実務を熟知しており、どのような証拠が「裁判で認められる強い証拠」になるかを把握しています。違法性を避けながら最大限有利な証拠を確保するために、的確なアドバイスを受けられます。
  2. 探偵選びの相談にも対応
    信頼できる探偵を紹介してもらえる場合や、どのような調査計画が妥当かについて助言してもらえる場合があります。探偵との契約内容を弁護士にチェックしてもらえば、費用トラブルの防止にも役立ちます。
  3. 交渉・裁判の戦略立案
    不倫の証拠をどう活かして示談交渉するか、あるいは訴訟で主張するか、最終的な戦略が重要です。弁護士が証拠をもとに説得力のある主張を組み立て、相手に対して適切な要求を行うことができます。
  4. プライバシー保護や逆請求リスクの回避
    証拠収集や請求行為の仕方によっては、相手から「名誉毀損やプライバシー侵害だ」と逆に訴えられるリスクもあります。弁護士はこのようなリスクを見越しながら、安全かつ有効な手続きの進め方を指示してくれるため安心です。

まとめ

  • 写真・動画・LINESNS・探偵報告書など、多様な手段を組み合わせて証拠を確保する
    ただし、盗撮や不正アクセスなどの違法性が強い手法は絶対に避ける。
  • 証拠は「時系列がわかる」「当事者が特定できる」「肉体関係を示す内容である」ほど有利
    曖昧な表現や一部抜粋だけでは、不貞行為の立証が十分ではない可能性がある。
  • 探偵の報告書は有力な証拠となるが、費用面・業者選定には注意が必要
    違法行為を行う悪質業者も存在するため、信頼できる探偵を選ぶことが大切。
  • 収集方法の違法性に注意し、弁護士のアドバイスを受けることが理想的
    違法収集とみなされると、逆にトラブルを招く可能性がある。

不倫の証拠収集は、慰謝料請求の成否や離婚訴訟の結果を大きく左右する重大なプロセスです。しかし、焦って自己流で証拠を集めると、違法性の指摘を受けたり、結果として裁判に使えない証拠になってしまったりするリスクがあります。

確実かつ安心して証拠を収集し、今後の慰謝料請求や離婚協議を有利に進めるためにも、早い段階から弁護士法人長瀬総合法律事務所へ相談することをおすすめします。あなたの事情に即した最適なアドバイスを得て、正しく手続きを進めましょう。

 


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