コラム

2025/01/22 コラム

不貞行為(不倫・浮気)の定義と法律的根拠を解説

知っておきたいポイントと弁護士に相談するメリット

はじめに

不貞行為(いわゆる不倫・浮気)は、夫婦の信頼関係を大きく損なう行為として法律上も問題になる場合があります。一般的には「浮気されたから慰謝料を請求したい」「不倫相手に責任をとってほしい」といった悩みや不安を抱える方も多いでしょう。しかし一方で、「どのような場合に法律上の不貞行為と認められるのか」「どのくらいの証拠が必要なのか」「どのような手続きで慰謝料を請求するのか」など、不倫問題が具体的にどのように扱われるかを知らない方も少なくありません。

そこで本稿では、不貞行為(不倫・浮気)の定義や法律的根拠について、できるだけ分かりやすく整理してみました。この記事を読むことで、慰謝料を請求する際や、逆に請求される立場になった場合などに役立つ基礎知識を得ていただければ幸いです。

Q&A

ここでは、不貞行為や浮気にまつわるよくある疑問について、簡単にQ&A形式でまとめています。

不貞行為と浮気や不倫は同じ意味ですか?

法律上は「不貞行為」という用語がよく使われますが、一般的な会話では「浮気」「不倫」という言葉も広く用いられます。法的には、配偶者のある人が自由な意思で配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを「不貞行為」と呼ぶのが通常です。

キスやデートだけでも不貞行為にあたりますか?

キスやデートは「不倫関係の有力な証拠」の一部として評価される可能性はあります。なお、慰謝料請求を認めるためには肉体関係があるかどうかが大きなポイントになります。

メールやLINEのやりとりだけでも慰謝料請求できる?

メールやLINEなどのやりとりが「単なる友人関係の会話」にとどまる場合は、不法行為としての慰謝料請求は難しいことが多いです。とはいえ、やりとりの内容や回数・時間帯などから「ただの友人」ではないと推測される場合、他の証拠とあわせて不倫(不貞行為)を立証する手がかりにはなります。

不倫発覚後、すぐ離婚しないといけませんか?

不倫問題が明らかになったからといって、必ず離婚しなければならないわけではありません。夫婦関係を修復する選択をするケースもあるほか、修復を前提に慰謝料だけを請求することも可能です。また、離婚するかどうか迷っている段階でも、不倫相手への慰謝料請求は進められる場合があります。

解説

ここからは、不倫・浮気の定義がどのように法的に位置づけられているのかを詳しく見ていきます。

1. 不貞行為(法律上の定義)

民法上、夫婦には互いに「貞操義務」があると解されています。この貞操義務を破る行為として、肉体関係を持つことが最も重い違反だとされ、これを「不貞行為」と呼びます。一般に「浮気」「不倫」と言われる行為が、法律の場面では不貞行為として扱われます。

裁判所も、不貞行為の立証には「継続的かつ直接的な肉体関係があったこと」を事実として示すことが重要だと判断しています。単なる二人きりの会食やデートのみでは法的な意味の不貞行為には該当しない可能性がありますが、「ラブホテルに出入りした証拠」「宿泊施設に一緒に泊まった記録」「明らかな性的メッセージのやりとり」などがあれば、肉体関係があったと推認されやすくなります。

2. 法律的根拠と慰謝料請求の可否

不貞行為があった場合、被害を受けた配偶者は不倫相手と自分の配偶者の両方に対して慰謝料請求を検討できる可能性があります。法律上は、不貞行為によって精神的苦痛を被ったとして、「不法行為に基づく損害賠償請求」(民法709条・710条)を行うことになります。

  • 民法709
    「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
  • 民法710条
    「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」

配偶者が「夫婦としての信頼関係を害された」として精神的苦痛を主張でき、これを不倫相手に対しても追及できる仕組みになっています。ただし、以下のような事情があると慰謝料請求が制限または減額される可能性があるため、実際には慎重に判断する必要があります。

  • 夫婦関係が既に破綻していた
    夫婦仲が冷え切っており、事実上、夫婦関係が破綻していた状態での「交際」については、不倫相手が責任を負わないケースもあります。
  • 不倫相手が既婚者だと知らなかった
    相手から「独身だ」と騙されていた場合、不倫相手に故意や過失がないとして損害賠償責任が否定される可能性があります。

3. 不貞行為の立証に必要な証拠

不貞行為があったと主張する場合、裁判所に認めてもらえる程度の証拠をそろえる必要があります。代表的な証拠としては、以下のものが挙げられます。

  • 探偵の調査報告書
    ラブホテルや相手宅への出入り写真、時間帯など具体的な報告
  • メール・LINE・SNSの履歴
    明確に肉体関係を示唆するメッセージがあるか
  • 宿泊施設の領収書やクレジットカード明細
    二人きりで宿泊したことを示す手がかり
  • 写真や動画
    不貞行為の現場を直接撮影したもの(ただし盗撮等の方法には注意)

これらの証拠があれば、交際の事実や継続性が推認されやすくなり、慰謝料請求の根拠として有利に働きます。一方、証拠収集の際に法律やプライバシーを侵害する手段を使ってしまうと、逆に違法行為とみなされる可能性があるため注意が必要です。 

弁護士に相談するメリット

不倫問題は、夫婦間や不倫相手との感情的な争いになりがちで、直接の話し合いが難航するケースも少なくありません。そこで、不倫問題に精通した弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  1. 適切なアドバイスとサポート
    慰謝料請求の方針や手続きを一から検討し、客観的な観点でアドバイスをもらえるため、感情的になりすぎずに冷静に進めることができます。
  2. 交渉の負担軽減
    弁護士が代理人として相手方とやり取りしてくれるため、自分自身が直接連絡を取る必要がなくなります。精神的ストレスが軽減されるうえ、示談交渉がスムーズに進みやすくなります。
  3. 確実な証拠収集のためのアドバイス
    どのような証拠が有効になるか、違法にならない証拠収集方法は何かといった点について、専門的なアドバイスを受けられます。
  4. 法的手続きを適切に進められる
    交渉が決裂した場合でも、慰謝料請求の裁判手続きを見据えたサポートが得られるため、不利な条件で和解してしまうリスクを減らすことができます。
  5. 安心感とリスク回避
    相手からの反論や逆請求、名誉毀損やプライバシー侵害の主張などにも迅速に対応できる体制が整います。

こうしたメリットを踏まえると、感情面・手続き面の不安を軽減しながら、より有利に交渉を進めるためにも早めの段階で弁護士への相談を検討することが望ましいと言えるでしょう。弁護士法人長瀬総合法律事務所は不倫問題について豊富な経験と実績を有していますので、安心してご相談いただけます。

まとめ

  • 不貞行為(不倫・浮気)の定義
    不貞行為とは、法律上は配偶者のある人が配偶者以外の異性と自由意思で肉体関係を持つことを指します。
  • 慰謝料請求の法的根拠
    民法709条・710条を根拠に、夫婦の信頼関係を損なわれた配偶者が不倫相手に損害賠償を請求できます。
  • 立証のポイント
    実際に不貞があったことを裏付ける証拠(探偵の報告書、SNS、メールやLINEの内容、宿泊履歴など)が重要です。

弁護士に相談するメリット

適切な証拠収集、交渉負担の軽減、専門的見地による有利な示談や裁判の戦略など、多角的なサポートが受けられます。

不倫問題は日常生活を大きく揺るがす重大なテーマであり、感情的対立も生じやすい分野です。だからこそ、正確な法知識に基づいた対応をとることが重要といえます。もし不倫問題でお困りの方、不安を抱えている方は、一度弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。事案に沿った具体的なアドバイスを得ることで、ご自身の権利と生活を守る手段が見えてくるはずです。

 


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