コラム

2025/01/19 コラム

配偶者が既に離婚を決意していた場合の慰謝料減額

不倫慰謝料はどう変わる? 離婚決意のタイミングと慰謝料の関係

はじめに

不倫問題が浮上した際、慰謝料を請求する側にとって、「配偶者が不倫前からすでに離婚を考えていたかどうか」という点は大きな意味を持ちます。法律上、慰謝料の金額は精神的苦痛の程度を基準に判断されるため、夫婦関係が不倫前から破綻状態にあった場合や、配偶者がすでに離婚を決意していた場合には、慰謝料が減額されることがあります。

本稿では、「配偶者が既に離婚を決意していた場合に慰謝料が減額される理由」「どのような場合に減額が認められるのか」「減額される際の基準や注意点」などを解説します。

本記事は、弁護士法人長瀬総合法律事務所が作成しています。不倫問題で慰謝料の減額が争点となる場合は、個別の事情によって結果が大きく変わるため、ぜひ専門家にご相談ください。

Q&A

離婚を考えていたら慰謝料がもらえなくなるのですか?

必ずしも慰謝料がもらえなくなるわけではありません。ただし、離婚を考えていた時期や夫婦関係の状況によって、精神的苦痛の程度が軽く評価され、結果的に慰謝料が減額される可能性があります。

離婚を考えていた証拠はどのように判断されますか?

例えば、離婚を考えていることを記した日記やメール、第三者への相談内容、別居していた期間の長さなどが証拠として挙げられることがあります。裁判所はこれらの証拠を総合的に検討し、離婚の意思があったかどうかを判断します。

夫婦関係が破綻していた場合も慰謝料は請求できますか?

夫婦関係が破綻していた場合、不倫が「既に失われた夫婦関係を壊した」とは評価されにくくなり、慰謝料が大幅に減額されるか、場合によっては認められないこともあります。

減額される基準は何ですか?

裁判所は、夫婦関係の破綻度合い、破綻の原因、破綻と不倫行為の関係性などを総合的に考慮して慰謝料の金額を決定します。

解説

慰謝料の減額が認められるケース

  • 離婚を考えていた時期が不倫以前である場合
    不倫が発覚する前から配偶者が離婚を決意しており、夫婦関係が冷え切っていた場合には、「不倫による精神的苦痛は限定的」と判断されることがあります。
    特に、長期間の別居や夫婦間でのコミュニケーションがほとんどなかった場合、不倫が慰謝料の対象とされても減額される傾向にあります。
  • 夫婦関係が破綻していた場合
    不倫以前から夫婦としての実態がなく、法律上の形式的な婚姻関係が残っているだけと判断されると、慰謝料請求が認められない場合もあります。
    例えば、別居状態が数年続いており、生活費の分担や共同生活が完全に解消されている場合などです。
  • 破綻の原因が不倫とは無関係な場合
    夫婦関係の破綻が、不倫とは無関係な要因(性格の不一致、長年のすれ違いなど)による場合は、精神的苦痛の度合いが軽く評価されることがあります。

裁判所が減額を判断する基準

  • 夫婦関係の破綻状況
    夫婦関係がどの程度破綻していたか、破綻の時期、不倫行為との因果関係などを詳細に検討します。
    具体的な証拠(別居期間、日記、メールなど)が重要な判断材料となります。
  • 不倫行為の時期と離婚の意思の関係
    配偶者が離婚を決意していたタイミングが不倫行為の発生時期よりも先行していた場合、不倫が直接的な破綻原因ではないと評価される場合があります。

実務上の注意点

  • 証拠の準備
    配偶者が「離婚を考えていた」と主張する場合には、その証拠の信ぴょう性が問われます。相手の主張を覆すためには、夫婦関係がまだ継続していたことを示す証拠を用意することが重要です。
  • 感情的な対立を避ける
    減額が争点となる場合、不倫の発覚後も話し合いや交渉を冷静に進める必要があります。感情的な対立が激化すると、解決が長引き、不利な条件で妥協を強いられることもあります。

弁護士に相談するメリット

  1. 的確な主張と証拠の整理
    慰謝料請求を巡る争いでは、夫婦関係の状況や破綻の有無を示す証拠が重要です。弁護士はこれらを整理し、説得力のある主張を展開します。
  2. 交渉の負担軽減
    直接の話し合いが難しい場合でも、弁護士が代理人となることで冷静かつ効果的な交渉が可能になります。
  3. 法的リスクの回避
    感情的になりすぎて相手を攻撃した場合、名誉毀損などの逆請求を受けるリスクがあります。弁護士のサポートを受けることで、適切な範囲で請求を進めることができます。

まとめ

  • 離婚を決意していた場合、慰謝料が減額される可能性がある
    不倫が直接の破綻原因でない場合、精神的苦痛の度合いが限定的と評価されるため。
  • 破綻の証拠が重要
    裁判所は夫婦関係がどの程度破綻していたか、不倫行為が破綻にどれほど影響を与えたかを検討する。
  • 弁護士のサポートで冷静かつ有利な解決を目指す
    慰謝料減額のリスクを最小限に抑えつつ、交渉を円滑に進められる。

不倫問題で慰謝料請求を考えている方は、個々の事情に応じた法的アプローチが必要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、豊富な経験と実績をもとに、最善の解決方法を提案します。ぜひお気軽にご相談ください。

 


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