コラム

2025/01/18 コラム

不貞慰謝料の相場を左右する主な要因(婚姻期間、子どもの有無等)

慰謝料額はどうやって決まる?不倫被害者が知っておきたいポイント 

はじめに

不倫・浮気による慰謝料請求を考えるとき、多くの方が最初に気になるのは「慰謝料はいくらくらい請求できるのか?」という点ではないでしょうか。実際のところ、不貞慰謝料の金額は一律に決まっているわけではなく、様々な要因が総合的に考慮されて決定されます。

そのなかでも、婚姻期間の長さ子どもの有無などは、不貞慰謝料の金額を大きく左右する主要な要素として広く知られています。また、夫婦関係の実情や不倫の悪質性なども勘案されるため、最終的な金額には幅があるのが現状です。

本稿では、裁判例や実務に基づいて「不貞慰謝料の相場に影響を与える主な要因」について解説していきます。具体的な事例や、どのように金額が算定されるかを知ることで、慰謝料請求を検討している方が適切な判断を行うための一助になれば幸いです。

本記事は、弁護士法人長瀬総合法律事務所が作成しています。実際の事例では、個々の事情によって結果が変わる場合がありますので、不倫問題でお悩みの方は早めに専門家へご相談いただくことをおすすめします。

Q&A

はじめに、不貞慰謝料の相場にかかわるよくある疑問をQ&A形式で紹介します。

不貞慰謝料の「相場」とは具体的にどの程度の金額ですか?

一般的には、50万円~300万円程度という数字をよく見かけます。これはあくまで裁判所が不倫の慰謝料について判断した事例の統計や、過去の示談交渉の経験則などから導かれた範囲で、「相場」として取り沙汰されることが多い金額です。ただし、この範囲外の金額が認められることもありますし、実際は当事者の事情や協議結果によって決まります。

婚姻期間が長いほど慰謝料は高くなるのですか?

一般論として、婚姻期間が長いほど夫婦間の信頼関係は強いと考えられ、「不貞行為による精神的ダメージが大きい」と評価される傾向があります。そのため、婚姻期間が長いほど高額の慰謝料を認める裁判例が見られます。ただし、あくまでも「総合考慮」になるため、婚姻期間だけで金額が決まるわけではありません。

子どもがいる場合といない場合で慰謝料額は変わりますか?

子どもがいる夫婦の場合、不貞行為によって家庭が崩壊する可能性が高まり、育児への影響や子どもの心的負担などが問題になります。その結果、子どもがいるケースでは慰謝料が上乗せされる(高めになる)ことが多いです。逆に子どもがいない夫婦に比べて金額が低くなることはあまりありません。

不倫の継続期間や回数は慰謝料に影響しますか?

はい、影響します。長期にわたる不倫関係や、複数回にわたる不倫関係は、悪質性が高いとみなされやすい傾向にあります。結果として慰謝料が増額される傾向にあります。たとえば1回きりの不貞行為と比べて、長期間にわたり隠し続けた場合は大きな悪質性が認められる可能性があります。

収入や社会的地位が高いと慰謝料も高額になるのですか?

必ずしもそうとは限りませんが、加害者の経済状況が考慮されるケースはあり得ます。ただし、裁判所は主に「被害者の精神的苦痛の大きさ」を基準に金額を定めるため、加害者の高所得だけを理由に大幅に引き上げられるわけではありません。一方で、加害者が高所得であることが示談交渉に影響し、比較的高い額で合意に至る場合もあります。

解説

ここからは、具体的に慰謝料算定に影響を及ぼす主な要因をさらに詳しく見ていきましょう。

婚姻期間

  • 婚姻期間が短い場合
    新婚であるなど婚姻期間が短い場合、精神的苦痛の深刻度は必ずしも低いわけではありません。しかし、「結婚生活の安定度がまだ浅い」という見方がされることがあり、長期結婚に比べると慰謝料の金額が低めに認定されやすい傾向にあるといえます。
  • 婚姻期間が長い場合
    一方、結婚10年・20年といった長期間にわたる夫婦関係があったにもかかわらず不倫があった場合は、「長年築いてきた家族としての信頼関係を大きく損なわれた」という評価になります。したがって、慰謝料が高額になりやすいとされています。

子どもの有無・年齢

  • 子どもがいる場合
    夫婦に子どもがいる場合、不倫によって子どもの生活環境や心情に影響が及ぶ可能性が高いです。特に、小さい子どもを抱えている時期の不倫は、被害者である配偶者が育児に追われるなか精神的にも大きな負担を強いられるため、慰謝料の増額要因となることが多い傾向にあります。
  • 子どもがいない場合
    子どもがいない夫婦でも、不倫による被害者の精神的苦痛が大きい場合は高額になる可能性は十分にあります。ただし、裁判所の判断では「子どもの存在」を重要視するケースが散見されるため、やや低めに評価される場合がある点は否定できません。

不倫の継続期間・回数

  • 一度きりの不貞行為
    「ほんの一度、酔った勢いで」といった一度きりの過ちを主張するケースなどは、長期の不倫と比べるといわゆる「悪質性」が低いと判断される傾向があります。そのため、慰謝料も比較的低額となりやすいといえます。
  • 長期間・複数回の不倫
    長期間にわたって隠し通したり、複数回にわたって不貞行為を重ねたりしている場合、裁判所は「強い悪質性」があるとみなします。このような事案では慰謝料が大きく増額されることが多い傾向にあります。

不倫による夫婦関係の破綻度合い

  • 離婚に至るか否か
    不倫が発覚して夫婦関係が破綻し、最終的に離婚にまで至った場合は、被害者側が被る生活上の影響も大きいと判断されます。その結果、慰謝料は加算されやすい傾向にあるといえます。
    一方、離婚せずに夫婦関係を継続する選択をした場合でも、精神的苦痛は大きいものの、「関係修復を選んだ」という点が考慮され、若干低めに算定されることもあります(あくまでもケースバイケースです)。

不倫の態様・悪質性

  • 計画的・執拗な不貞行為
    不倫行為が偶発的ではなく、計画的・継続的に行われていたり、被害者を嘲笑うようなやり取りが存在した場合などは、さらに精神的苦痛が増大していると評価されます。
    悪質性が高いと判断されると、通常より大きく慰謝料が上乗せされる可能性があります。
  • 公になったことで社会的影響が大きい場合
    不倫が社内で広まったり、地域社会で噂になったりして、被害者が大きな恥辱感や社会的信用の低下を被った場合なども、追加的に金額が考慮されることがあります。

弁護士に相談するメリット

慰謝料の相場を左右する要因は多岐にわたります。また、同じような事例であっても、示談交渉か裁判かによっても金額は変わってきます。不倫問題に精通した弁護士へ相談すれば、以下のようなメリットが得られます。

  1. 個別事情を踏まえた見積もり
    ネット上の情報や噂だけでは正確な金額をつかみにくいところ、弁護士はこれまでの判例や経験をもとに大まかな金額の目安を示せます。
  2. 有利な示談交渉
    加害者側もできるだけ安く済ませたいと考えるのが普通です。そうした相手の主張に対して、法律的根拠や過去の事例をもとに適切な交渉を進めることで、被害者の権利を最大限に守ることが期待できます。
  3. 証拠収集・立証戦略
    慰謝料の金額を左右する最も重要なポイントの一つが「不倫の証拠」です。証拠の内容や取得方法を誤れば、逆に違法行為とみなされるおそれもあります。弁護士に相談すれば、合法的かつ有効性の高い証拠収集の仕方をアドバイスしてもらうことが期待できます。
  4. 感情面・精神面のサポート
    不倫は、被害者の方にとって人生を大きく揺るがす出来事です。弁護士に相談することで、「どのように動けばいいのかわからない」という不安を取り除き、法的手続きに専念できる精神的ゆとりが得られます。

不倫問題の解決には、法律知識だけでなく、交渉術や心理面への配慮も重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、不貞慰謝料の問題を数多く取り扱ってきた実績があるため、安心してご相談いただけます。

まとめ

慰謝料の相場は50万円~300万円程度といわれるが、個別事情により増減が大きい

婚姻期間、子どもの有無、不倫の回数・期間、夫婦関係の破綻状況などを総合的に判断する。

長い婚姻期間や子どもの存在は、精神的苦痛が増加するとして金額を押し上げる傾向

特に育児中の不倫や長年連れ添ってきた夫婦関係での不倫は、被害者のダメージが大きいとみなされやすい。

不倫が悪質な場合、通常よりも高額になることがある

長期や複数回にわたる不倫、公になることで被害者が社会的信用を失うなどの事情があると増額されやすい。

弁護士に相談することで、適切な金額の目安と戦略的な示談交渉が可能

専門家の知見により、証拠収集・立証の方針、示談・裁判の進め方などを総合的にアドバイスしてもらえる。

不倫・浮気の慰謝料額は「夫婦ごとに異なる」ものです。他人の事例と同じ結果になるとは限らないため、早めに専門家へ相談して自分に合った解決策を探ることが重要です。もし今現在、不倫の発覚による精神的苦痛に悩まされている方や、慰謝料請求をどう進めればいいかわからない方は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。

 


 

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