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2026/02/27 コラム

【不貞行為の定義】肉体関係なしの「プラトニック不倫」で慰謝料は請求できる?LINEやキス止まりの浮気の法的責任

はじめに

「夫が職場の女性と毎日LINEで『愛してる』と送り合っている」
「妻がマッチングアプリで知り合った男性とデートやキスを繰り返しているが、体の関係はないと言い張る」

配偶者の裏切りに直面したとき、もっとも大きな壁となるのが「肉体関係(性交渉)の有無」です。一般的に、不貞慰謝料を請求できるのは「肉体関係がある場合」とされています。そのため、明らかに夫婦の信頼を裏切る行為があっても、「体の関係がないから不倫ではない(=慰謝料は払わない)」という言い逃れをされ、泣き寝入りしてしまう方が少なくありません。

しかし、肉体関係がないからといって、法的責任が一切問われないわけではありません。いわゆる「プラトニック不倫」であっても、その親密度や態様によっては、夫婦の平穏を侵害する「不法行為」として慰謝料請求が認められるケースがあります。

本記事では、肉体関係を伴わない浮気(プラトニック不倫)の法的責任について、最新の裁判例や実務の傾向を踏まえて解説します。 

Q&A:プラトニック不倫に関するよくある悩み

肉体関係がないケースでの慰謝料請求について、当事務所に寄せられる代表的な質問にお答えします。

Q1. 夫が女性と頻繁にデートし、キスもしていますが、性交渉はありません。慰謝料は請求できますか?

「不貞行為(性交渉)」そのものではありませんが、不法行為として慰謝料請求が認められる可能性が高いです。

法律上の厳密な「不貞行為」は、性器の結合を伴う性交渉(またはそれに類似する行為)を指します。しかし、キスや抱擁といった行為も、夫婦の信頼関係を損なう背信行為であることに変わりはありません。裁判実務では、既婚者が配偶者以外の異性とキスや抱擁を行うことは、社会通念上許される範囲を超えた「違法な権利侵害」であるとして、慰謝料(損害賠償)の支払いを命じるケースが多々あります。

Q2. 体の関係もキスもありませんが、毎日LINEで「好きだ」「会いたい」と送り合っています。これでも慰謝料は取れますか?

ハードルは上がりますが、内容や頻度、夫婦関係への影響によっては請求可能な場合があります。

単なる友人としてのメールや食事程度であれば、違法とは言えません。しかし、文面が明らかに恋愛感情に基づき、性的なニュアンスを含んでいたり、深夜早朝に及び夫婦の生活を妨害していたりする場合、またそれによって夫婦関係が破綻に至ったような場合は、「婚姻共同生活の平和の維持」を侵害したとして、法的責任を問える余地があります。ただし、肉体関係がある場合やスキンシップがある場合に比べ、認められる慰謝料額は低くなる傾向にあります。

Q3. 「プラトニック不倫」の証拠として何が必要ですか?

二人の親密さ(恋愛関係)と、それが夫婦関係を破壊したことを示す証拠が必要です。

肉体関係を証明するホテルの出入り写真などがなくても諦める必要はありません。

  • 恋愛感情や将来の約束(「離婚したら結婚しよう」など)が記されたLINEやメールの履歴
  • 手をつないで歩く、キスをしているデート写真や動画
  • 頻繁な通話履歴(特に深夜帯や長時間のもの)
  • プレゼントの領収書や手紙

これらを組み合わせることで、「社会通念上許容される交友関係を超えている」事実を立証していきます。

詳細解説:肉体関係がない「プラトニック不倫」の法的責任

ここでは、なぜ「肉体関係なし」でも慰謝料請求が可能になるのか、その法的根拠と判断基準(不貞行為と不法行為の違い)について深く掘り下げます。

1. 「不貞行為」と「不法行為」の決定的な違い

法律相談において、多くの依頼者様が混同されているのが、民法上の「離婚原因としての不貞行為」と「損害賠償の原因となる不法行為」の違いです。

  • 民法770条(離婚原因)における「不貞行為」
    原則として、配偶者以外との自由な意思に基づく「性交渉(肉体関係)」を指します。裁判で強制的に離婚を認めてもらうためには、このレベルの証拠が必要です。
  • 民法709条(不法行為)における「権利侵害」
    慰謝料請求の根拠はこちらです。ここでは必ずしも「性交渉」だけが要件ではありません。保護されるべき利益は「婚姻共同生活の平穏」です。したがって、性交渉に至らなくても、社会通念上許される限度を超えて親密な交際を行い、夫婦の平穏を侵害すれば、不法行為が成立します。

つまり、プラトニック不倫であっても、「一線を超えた親密さ」があれば、不法行為として慰謝料の対象になり得るのです。

2. 違法性が認められる「一線」とは?判断のポイント

では、どこからが「友達付き合い」で、どこからが「不法行為(プラトニック不倫)」になるのでしょうか。裁判所は以下のような要素を総合的に考慮して判断します。

行為の態様と親密度

  • 身体的接触の有無: キス、抱擁、添い寝などは、性交渉がなくとも違法性が高いと判断されやすい行為です。
  • 言葉のやり取り: 「愛してる」「早く一緒になりたい」といった愛情表現の有無や、性的な話題が含まれているかが重視されます。

交際期間と頻度

  • 数回食事に行った程度ではなく、長期間にわたり頻繁に密会を重ねている場合、精神的な結びつきが強く、夫婦関係への脅威が大きいとみなされます。
  • 深夜や早朝の連絡、休日をすべて費やすような交際は、家庭生活を顧みない行為として悪質性が高まります。

夫婦関係への影響(因果関係)

その交際が原因で夫婦仲が悪化した、別居に至った、あるいは離婚することになったという「結果」が重要です。プラトニックな関係であっても、それが引き金となって家庭が崩壊したのであれば、その責任(損害賠償義務)は発生します。

3. プラトニック不倫における慰謝料の「相場」と現実

肉体関係がない事案での慰謝料請求において、もっとも注意すべき点は「金額」です。

一般的な不貞慰謝料(肉体関係あり)の相場は、離婚する場合で100万円〜300万円程度とされていますが、肉体関係がない場合はこれよりも低くなるのが通常です。

慰謝料の目安: 数十万円〜100万円程度

具体的な事情、婚姻期間、相手方の資産、反省の態度などにより変動します)

「たったこれだけ?」と感じるかもしれません。しかし、金額以上に「相手の行為が法的に間違っていると認めさせること」「法的責任を追及することで関係を断ち切らせること」に意義を見出す依頼者様も多くいらっしゃいます。また、悪質性が高い(例:配偶者を精神的に追い詰めるような言動があった、子供を巻き込んだ等)場合は、相場以上の金額が認められるケースもあります。

4. デジタル・不倫の法的評価

近年の傾向として、SNSやマッチングアプリを通じた「バーチャルな浮気」や、オンラインゲーム内での擬似恋愛(ネット不倫)に関する相談が増加しています。

現時点での裁判実務では、実際に会っていない(ネット上だけの)関係で慰謝料を認めることには慎重ですが、ビデオ通話で過度な性的パフォーマンスを行ったり、ネット上の関係に没頭して家庭生活を完全に放棄(家事育児の放棄)したりした場合には、それを理由とした慰謝料請求や離婚請求が認められる余地が広がっています。

「実際に会っていないからセーフ」「触れていないから浮気じゃない」という言い分は、もはや通用しにくくなっているのが、令和の法務の最前線です。

弁護士に相談するメリット

肉体関係がない「プラトニック不倫」の慰謝料請求は、通常の不貞案件よりも法的構成が難しく、専門的な戦略が求められます。弁護士法人長瀬総合法律事務所にご依頼いただくメリットは以下の通りです。

1. 「違法性」を立証する主張の構成

肉体関係という決定的な証拠がない分、LINEのやり取りや行動履歴から「いかに社会通念上の限度を超えているか」を論理的に組み立てる必要があります。私たちは豊富な経験に基づき、裁判官を説得するための法的主張を構築します。

2. 相手方の「言い逃れ」を封じる交渉術

ご本人での交渉では、「体の関係はないから払う義務はない」と開き直られるケースがほとんどです。弁護士が代理人となることで、「肉体関係がなくても法的責任が発生する」ことを判例に基づいて警告し、相手方に事の重大さを認識させ、支払いに応じさせる圧力をかけることができます。

3. 慰謝料以外の条件交渉(関係遮断・接近禁止)

金額的な満足だけでなく、「二度と連絡を取らない」「会わない」といった誓約条項(接触禁止条項)を合意書に盛り込み、違約金を設定することで、将来的な不安を解消し、夫婦関係の修復に向けた環境作りをサポートします。

まとめ

「肉体関係がないから、慰謝料は請求できない」

この常識は、必ずしも正しくありません。たとえプラトニックな関係であっても、度を越した親密な交際は、最愛のパートナーを傷つけ、家庭の平穏を破壊する「不法行為」となり得ます。

夫婦の形や愛情の裏切り方も多様化しています。キスや抱擁、あるいは心だけのつながりであっても、あなたが受けた精神的苦痛は本物であり、法的に保護されるべきものです。

「これくらいの証拠で相談してもいいのだろうか」と迷う必要はありません。相手方の行為に違法性があるのか、どの程度の請求が可能なのか。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、最適な解決策をご提案いたします。

泣き寝入りする前に、まずは当事務所の無料相談をご活用いただき、あなたの正当な権利を確認してください。


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