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2026/01/17 コラム

【弁護士監修】浮気を繰り返す配偶者…離婚せずに慰謝料請求を継続・再請求するポイントと注意点

パートナーに不貞行為(不倫)を繰り返された場合、「離婚」だけが解決策ではありません。お子様の問題、経済的な事情、あるいはまだ情があるなど、様々な理由で「離婚はしない」という選択をされる方も多くいらっしゃいます。

しかし、離婚しないからといって、不貞行為を黙認する必要は全くありません。むしろ、離婚しないケースこそ、都度しっかりと慰謝料請求を行い、ペナルティを課すことで再発防止を徹底する必要があります。

本稿では、浮気が繰り返されるケースにおいて、離婚を選択せずに慰謝料請求を行うための法的根拠、具体的な手順、そして「二度と繰り返させない」ための示談書作成のテクニックについて解説します。

離婚せずに行う慰謝料請求に関するQ&A

まずは、浮気が繰り返された際の慰謝料請求について、よくある疑問をQ&A形式で解説します。

Q1. 一度不倫を許して解決したはずなのに、同じ相手とまた不倫していました。再度慰謝料を請求できますか?

はい、請求可能です。

過去に示談や解決金が支払われていたとしても、その後の「再度の不貞行為」は、新たな不法行為となります。また、前回の解決時に「接触禁止」などを約束していた場合、その約束を破ったことに対する「違約金」もあわせて請求できる可能性があります。過去に一度許したからといって、将来の不貞まで許したことにはなりません。むしろ、約束を破って関係を継続していた悪質性から、慰謝料額が増額される要素にもなり得ます。

Q2. 夫(妻)が毎回違う相手と浮気を繰り返します。その都度請求するのは可能ですか?

はい、相手が変わるたびに、それぞれの事案について慰謝料請求が可能です。

不貞相手が異なる場合、それぞれの不貞行為は独立した不法行為として扱われます。したがって、浮気相手Aに対して請求し解決した後、新たに浮気相手Bとの不貞が発覚すれば、Bに対しても(そして配偶者に対しても)請求が可能です。ただし、配偶者に対して何度も請求する場合、家計が同一であれば実質的な経済的メリットが薄くなる可能性があるため、請求の仕方には工夫が必要です。

Q3. 離婚しない場合、慰謝料の相場は安くなってしまうのでしょうか?

一般的には、離婚に至るケースよりも低くなる傾向にあります。

不貞慰謝料は「夫婦関係を破綻させたこと」に対する精神的苦痛への賠償という側面が強いため、離婚に至らない(=関係は修復可能である、あるいは破綻まではしていない)と判断される場合、慰謝料額は控えめになる傾向があります。

しかし、「度重なる不貞行為であること」「約束を反故にした悪質性」が考慮されれば、離婚しないケースであっても、相場より高額な慰謝料や解決金が認められる場合があります。

解説:浮気を繰り返すパートナーへの法的責任追及

ここからは、浮気が繰り返される状況下で、離婚を選択せずにどのように法的責任を追及すべきか、その詳細を解説します。

1. 不貞行為(不倫)の法的性質と請求権

まず、不貞行為に対する慰謝料請求の法的根拠を確認します。民法709条(不法行為による損害賠償)および710条(財産以外の損害の賠償)に基づき、配偶者の不貞行為は、他方配偶者の「婚姻共同生活の平和の維持」という権利を侵害する行為とみなされます。

この権利侵害は、「離婚するかどうか」に関わらず発生します。

したがって、離婚をしない場合であっても、不貞行為の事実があれば、配偶者および不貞相手に対して慰謝料を請求する権利があります。

共同不法行為の原則

不貞行為は、配偶者と不貞相手の二人が共同して行う「共同不法行為」です。そのため、被害者は以下の3つのパターンで請求を行うことができます。

  1. 配偶者のみに請求する
  2. 不貞相手のみに請求する
  3. 両者に請求する

「離婚しない」かつ「家計が一緒」である場合、配偶者に金銭を請求しても「右のポケットから左のポケットへ移動するだけ」になりがちです。そのため、実務上は「不貞相手のみに請求する」ケースや、配偶者に対しては金銭ではなく「誓約書や公正証書の作成」を求めるケースが多く見られます。

2. 「同じ相手」との不倫再発(リピーター)の場合

過去に一度発覚し、示談や謝罪をして終わらせたはずの相手と、再び関係を持っていた場合です。このケースは悪質性が高いと判断されます。

新たな不法行為としての慰謝料

前回の解決(示談)は、あくまで「その時点までの不貞行為」に対するものです。示談後に再開された関係は、新たな不法行為として、改めて慰謝料請求の対象となります。

しかも、「一度発覚して配偶者が苦しんでいるのを知りながら関係を再開した」という事実は、悪意や故意の度合いが高いとみなされ、通常の初回不倫よりも高額な慰謝料が認められやすくなります。

示談書違反による違約金

前回の不倫発覚時に示談書を作成しており、そこに以下のような条項が含まれていた場合、慰謝料とは別に「違約金」を請求できます。

  • 接触禁止条項: 「今後、電話、メール、SNS、面会など私的な接触を一切行わない」
  • 違約金条項: 「本合意に違反した場合、違約金として〇〇万円を支払う」

違約金は、不貞行為そのものの慰謝料とは法的性質が異なります(契約違反に対するペナルティ)。したがって、理論上は「新たな不倫の慰謝料」+「接触禁止違反の違約金」のダブル請求が可能になるケースもあります。

3. 「違う相手」との不倫繰り返し(常習者)の場合

配偶者が、Aさんと別れた後にBさん、その次にCさんと、相手を変えて浮気を繰り返すケースです。

その都度の証拠確保が重要

相手が変わるたびに、それぞれが別個の事件として扱われます。そのため、「夫(妻)は浮気性だから」という漠然とした主張ではなく、「いつ、どこで、誰と」という証拠を毎回確保する必要があります。

  • GPS記録
  • LINEやメールのやり取り
  • 探偵の調査報告書
  • クレジットカードの明細

これらを「今回の相手」ごとに整理しておく必要があります。

配偶者への責任追及の強化

相手が毎回違う場合、不倫相手側は「相手が既婚者だとは知らなかった」「夫婦関係は破綻していると聞かされていた」と主張し、責任を逃れようとすることがあります。

しかし、配偶者自身については言い逃れができません。不倫を繰り返す配偶者に対しては、金銭請求だけでなく、「次に浮気をしたらどうするか」という具体的なペナルティを定めた契約(夫婦間契約)を結ぶことが、再発防止の鍵となります。

4. 離婚しない場合の「示談書・誓約書」の重要性

離婚せずに結婚生活を続ける場合、口頭での謝罪や「もうしません」という言葉だけでは、再び同じ過ちが繰り返されるリスクが高くなります。

そのため、法的効力のある文書(示談書・和解契約書・公正証書)を作成することが極めて重要です。

盛り込むべき条項の例

  1. 不貞行為の事実の自認
    いつ、誰と不貞を行ったかを具体的に認めさせます。これが将来の証拠になります。
  2. 慰謝料の支払い
    不倫相手に請求する場合はもちろん、配偶者に対しても、形式上慰謝料の支払い義務を認めさせることがあります(実際に支払わせるかは別として、債務として確定させる)。
  3. 接触禁止(不倫相手に対して)
    今後一切の私的接触を禁止します。職場が同じ場合は、業務連絡以外の接触禁止や、可能であれば部署異動・退職等の対応を求めます。
  4. 違約金(ペナルティ)条項
    「次に不貞をした場合」「接触禁止を破った場合」に支払う金額を明記します。金額は、あまりに高額すぎると(例:1億円など)公序良俗違反で無効になる可能性がありますが、現実的かつ痛手を負う金額(例:100万円〜300万円など)を設定します。
  5. 離婚条件の事前合意(配偶者に対して)
    「次に不貞を行った場合は、無条件で離婚に応じる」「その際の親権は妻(夫)とする」「財産分与は〇〇とする」といった条項を盛り込むことも検討します。
    ただし、離婚予約や親権の事前放棄は、法的に無効とされるリスクもあるため、弁護士による慎重な条項作成が必要です。
  6. 清算条項
    「本件に関してはこれ以上の請求をしない」という条項です。これは被害者側が不利にならないよう、慎重に範囲を限定する必要があります。

5. 経済的な側面:家計が同一の場合の対処法

「夫(妻)に慰謝料を請求しても、家計が同じなら意味がないのでは?」というご相談をよくいただきます。

確かに、共有財産から支払われては意味がありません。この場合、以下のような工夫が考えられます。

  • 不倫相手から回収する
    配偶者ではなく、不倫相手から徹底的に回収し、それを被害者個人の特有財産(へそくり等)として管理する。
  • 配偶者の小遣い・特有財産から支払わせる
    家計からではなく、配偶者の独身時代の貯金や、相続財産、あるいは毎月のお小遣いを減額する形で分割払いさせる。
  • 財産契約を結ぶ
    「夫婦財産契約」の一種として、将来の財産分与の前渡し的な意味合いで、自宅の名義を変更させたり、預貯金の管理権限を移動させたりする。

 

弁護士に相談するメリット

浮気を繰り返すパートナーとの問題を、当事者だけで解決しようとすると、以下のようなリスクがあります。

  • 「またか」という慣れから、うやむやにされる。
  • 相手が開き直り、逆に離婚を迫られる(有責配偶者からの離婚請求は原則認められませんが、精神的に追い詰められます)。
  • 作成した念書や誓約書が、法的に無効な内容になってしまう。

弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。

1. 再発防止に効力を持つ「強い示談書」の作成

弁護士は、過去の裁判例や法的有効性を踏まえ、相手が「二度と裏切りたくない」と思わせるような、実効性の高い示談書や公正証書を作成します。特に「違約金条項」や「離婚条件の取り決め」は、専門的な言い回しが必要不可欠です。

2. 不倫相手への徹底的な追及

配偶者との関係修復を優先する場合、怒りの矛先や法的責任の追及は、主に不倫相手に向けることになります。弁護士が代理人となることで、接触禁止の徹底や、相場に準じた(あるいは悪質性を加味した)慰謝料の回収を、ご自身の精神的負担を最小限にして進めることができます。

3. 「次」を見据えた証拠保全

万が一、将来的にやはり離婚せざるを得なくなった時に備え、今回の不貞行為を「決定的な証拠(過去の不貞の履歴)」として法的に使える形で残すことができます。これは、将来の離婚条件(親権や財産分与、慰謝料)を有利に進めるための強力な武器になります。

4. 精神的な支柱と冷静な判断

繰り返される浮気により、被害者の方の自尊心は深く傷つけられています。弁護士は法的なアドバイザーであると同時に、あなたの正当な権利を守る味方です。感情的になりがちな局面でも、冷静かつ戦略的なアドバイスを提供し、最善の選択をサポートします。

まとめ

パートナーが浮気を繰り返す場合、離婚しないからといって「我慢する」必要はありません。むしろ、関係を継続するからこそ、曖昧さを排除し、法的な枠組みでケジメをつけることが重要です。

  • 何度目の浮気であっても、その都度慰謝料請求は可能です。
  • 同じ相手との繰り返しは、悪質性が高く、違約金請求も視野に入ります。
  • 再発防止のためには、口約束ではなく、弁護士作成の厳格な示談書・公正証書が不可欠です。
  • 家計が同一の場合でも、不倫相手への請求や、財産管理の見直しで実質的な賠償を受ける方法はあります。

「もう二度と繰り返させたくない」「もし次があったら、その時は絶対に許さない」という強い意志を形にするために、弁護士の活用をご検討ください。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、不貞慰謝料問題に精通した弁護士が、あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。離婚をする・しないに関わらず、まずは一度ご相談ください。あなたの生活の平穏を取り戻すための第一歩を、私たちがサポートいたします。


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