2026/02/25 コラム
【弁護士監修】示談・裁判後に「また浮気」が発覚…追加の慰謝料請求と違約金の実践的対処法
はじめに
「示談書に判を押した後も、水面下で会っていた」
「裁判が終わってほとぼりが冷めた頃にまた連絡を取り合っていた」
残念ながら、このようなケースは珍しくありません。
この場合、被害者の方は「一度解決してしまったから、もう請求できないのではないか?」と不安に思われるかもしれません。しかし、過去の解決はあくまで「その時点までの罪」を清算したに過ぎません。
解決後の新たな裏切り行為には、新たなペナルティ(追加慰謝料・違約金)を課すことが考えられます。
再発不倫に関するQ&A
まずは、再度の不倫発覚時によくある疑問をQ&A形式で解説します。
Q1. 示談書に「清算条項(今後一切の請求をしない)」と書いてしまいました。それでも請求できますか?
はい、請求可能です。
示談書にある清算条項(「本件に関し、当事者間に何らの債権債務がないことを確認する」等の文言)は、あくまで「示談成立日までに発生した事案」について蒸し返さないという約束です。
示談成立日の翌日以降に行われた新たな不貞行為については、この条項の効力は及びません。したがって、新たな不法行為として請求できます。
Q2. 2回目の請求の場合、慰謝料の金額は高くなりますか?
はい、増額される傾向にあります。
一度目の発覚時に謝罪し、「もうしません」と約束(または裁判で認定)されたにもかかわらず、それを破って関係を持ったという事実は、「悪意や故意の度合いが極めて高い(悪質性が高い)」と判断されます。
また、被害者が受ける精神的苦痛も、一度目より深刻であると考慮されるため、相場よりも高額な慰謝料が認められる可能性が高いです。
Q3. 「体の関係はなく、連絡をとっていただけ」等の場合でもお金は取れますか?
示談書の内容(接触禁止条項)によります。
不貞慰謝料(不法行為)としては、肉体関係がないと請求が難しい場合があります。しかし、前回の示談書に「私的な連絡・接触を禁止する」という条項と、それに違反した場合の「違約金」が定められていれば、肉体関係の証拠がなくても、連絡をとった事実だけで違約金を請求できます。
解説:再発・継続不倫に対する「2つの請求権」
示談や裁判の後に不倫が発覚した場合、法的には大きく分けて2つのアプローチで金銭請求を行います。
1. 新たな不法行為に基づく「追加慰謝料請求」
これは、前回の解決とは切り離し、「示談(または判決)成立日以降に行われた不貞行為」を、新しい事件として訴える方法です。
- 対象: 配偶者および不倫相手(再度関係を持った場合)。
- 要件: 前回の解決時以降に、再び肉体関係を持ったことを証明する証拠が必要です。
- 特徴: 前回の示談書に違約金の取り決めがなかった場合でも、民法の不法行為(709条)として請求できます。
【注意点:証拠の「日時」が重要】
裁判所や相手方は、「その証拠は、前の裁判で解決済みの時期のものではないか?」と反論してくる可能性があります。したがって、提出する写真やLINEの履歴が、「間違いなく前回の解決日より後の日付であること」を立証できるかが勝負の分かれ目になります。
2. 示談書違反に基づく「違約金請求」
前回の示談書に、以下のような条項が入っていた場合に使える強力な方法です。
- 接触禁止条項: 「今後、電話、メール、SNS、面会など一切の私的接触を行わない」
- 違約金条項: 「本合意に違反した場合、違約金として〇〇万円を支払う」
この場合、不貞行為(肉体関係)の立証が難しくても、「会っていた」「電話していた」という事実さえ証明できれば、契約違反として違約金を請求できます。
【違約金のメリット】
- 立証のハードルが低い: 肉体関係まで証明する必要がないケースが多い。
- 金額が明確: 「1回につき〇万円」や「違反が発覚したら一律〇〇万円」と定めていれば、損害額の計算論争を省ける。
3. 「継続」と「再開」の違い
再発には2つのパターンがあります。
- 継続(偽装解決)
「別れた」と嘘をついて示談し、実は水面下でずっと続いていたケース。これは詐欺的な要素も強く、より悪質です。 - 再開(リピーター)
一度は本当に別れたが、数ヶ月後や数年後に再び連絡を取り合って関係が復活したケース。
どちらの場合も請求可能ですが、「継続」の場合は、「前回の示談は騙されて結んだものだ」として、前回の示談自体を取り消し(または詐欺による損害賠償請求)、さらに上乗せして請求できる可能性があります。
2回目の請求を成功させるためのステップ
感情的になってすぐに相手を問い詰めるのは得策ではありません。前回の経験を活かし、より冷静かつ戦略的に動く必要があります。
STEP 1:決定的な証拠を押さえる
「怪しい」だけで騒ぎ立てると、相手は警戒して証拠を隠滅します。特に今回は「バレたら大変なことになる」と相手も分かっているため、ガードが固くなっています。
探偵や興信所を利用し、「前回の解決日以降の日付が入った」確実な証拠(ラブホテルの出入り、相手宅への宿泊など)を確保してください。
STEP 2:前回の示談書・判決文の確認
手元にある前回の資料を確認します。
- 接触禁止条項の範囲はどうなっているか(連絡もダメか、会うのがダメか)。
- 違約金の定めはあるか。
- 清算条項の日付はいつか。
STEP 3:請求内容の確定
証拠と契約書に基づき、請求額を算定します。
- 違約金のみ請求するか?
- 新たな慰謝料もあわせて請求するか?
※違約金と慰謝料の二重取りができるかは、契約書の文言や解釈によりますが、両方の性質(ペナルティと損害賠償)を併せ持つとして、高額な請求を行うのが一般的です。
STEP 4:内容証明郵便の送付
弁護士名で、改めて内容証明郵便を送付します。文面には、「貴殿は〇年〇月の合意に反し、再び不貞行為に及んだ。これは極めて悪質であり、違約金〇万円および慰謝料〇万円を請求する」と強く記載します。
弁護士に依頼するメリット
一度解決したはずの問題が再燃した場合、ご本人の精神的疲労は限界に達していることがほとんどです。弁護士への依頼には以下のメリットがあります。
相手方への働きかけ
「また弁護士が出てきた」という事実は、相手方にとっても対応を検討する契機となります。「今度は言い逃れできない」「裁判になれば前回以上に高額な支払いになる」と理解してもらい、早期の支払いを促すことができます。
「二重取り」や「高額請求」の法的構成
違約金と追加慰謝料をどのように組み合わせて請求するかは、法的なテクニックが必要です。弁護士は、過去の判例や契約書の解釈を駆使し、最大限の金額を回収できるようロジックを組み立てます。
今度こそ縁を切らせる
二度あることは三度あるとも言われます。今回の解決では、前回以上に厳しい条件を盛り込み、接触してもらわない状況を作るための交渉を行います。
離婚に向けた有利な条件整備
「一度目は許したが、二度目は許さない」として離婚を決意される方も多いです。この場合、度重なる不貞行為は離婚事由として決定的であり、離婚慰謝料や財産分与、親権争いにおいて圧倒的に有利な材料となります。
まとめ
示談や裁判後の浮気再発は、被害者の心を深く傷つける許しがたい行為であり、法廷でも「悪質」と評価されます。
- 過去の「清算条項」は、未来の浮気には適用されません。再度請求可能です。
- 前回の示談書に「違約金」があれば、肉体関係の証拠がなくても請求できる場合があります。
- 慰謝料額は、一度目よりも増額される傾向にあります。
- 証拠は「前回の解決日以降」のものであることを明確にする必要があります。
「またあの泥沼を繰り返すのか」と諦める必要はありません。二度目の裏切りだからこそ、弁護士を介入させて毅然とした態度で臨み、相手に相応の償いをさせ、今度こそ真の解決と平穏を手に入れましょう。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、不貞問題の解決後に発生したトラブルについても、数多くの解決実績があります。一人で抱え込まず、まずは私たちにご相談ください。
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